ベーシックスタイルに少しの違和感を加え、新しいバランス感を備えた“ポストモダンクロージング”を提案するオオスミタケシ氏と吉井雄一氏によるファッションブランド「MISTERGENTLEMAN(ミスター・ジェントルマン)」の国内初となる旗艦店が東京・青山にオープンした。ブランドの徹底したモダン主義を表現すべく、思想の時代背景のサンプルとしてインダストリアルデザイナー、ディーター・ラムス氏によるブラウン社のヴィンテージ・オーディオをフィーチャーすることが求められた。それに合わせ空間は「シンプルで現代的な空間」「機能美を取り入れた無機質」といったキーワードからデザインが始まった。オーディオプロダクトが映える現代の空間を用意するため、ヘアライン仕上げのステンレスやパンチングパネル、クリアミラー、洗い出しなどの仕上げ材でラムス氏の機能主義の世界観を現代のデザインで表現した。シンプルなレイアウトながらディテールの処理を徹底し、レジシステムはカウンター内に収め、空調はストックに配してブリーズライン状の設備を特注で制作するなど、機能美を取り入れた無機質なデザインを貫いた。また、店内奥はオープンにできる間口をあえて塞ぎ、ラムス氏が1960年にデザインしたヴィツゥのシェルフを配すことで、ブランドの世界観の中で落ち着いて商品を吟味できる環境を整えている。