商業施設内のフードホールは通常、共有部のデザインをディベロッパーとディベロッパーが選定したデザイナーで進行し、テナント区画に関しては各テナント指定のデザイナーによってそれぞれがデザインを進めることが多い。しかし「THE RESTAURANT」では共有部とテナント全てのデザインを1社で行い、施設全体のブランド価値をコントロールしながらデザインしていくという企画で、グラフィックアンドデザイニング・相羽高徳氏の基本構想をベースにデザインした。共有部は、作り込み過ぎない粗野感を持たせた環境とした。一方でテナントはデザイン規制を設けず、そろい過ぎないように全体のバランスを取りながら、配色や素材感、高低差、サイン、椅子の形状などをコントロール。テナントがそれぞれの顔を持てるように、しっかりと作り込んだ意匠を意識している。「つくり込み過ぎない共有部」と「つくり込んだテナント」のコントラストが各店の個性を際立たせ、横丁の雑多感、そして高揚感に繋がることを目指した。